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学術英語

日本医科大学で第2回学術英語学会の研究大会を開催しました

平成28年6月26日、日本医科大学武蔵境キャンパスにおいて、学術英語学会の第2回大会を開催しました。

今回は、学会設立後2回目となる年次大会です。第1回目となる昨年度大会は、『グローバルを生き抜く研究者のための英語』というテーマで、英語を使って国際的に発信する必要に迫られている研究者をターゲットとして、様々な講演や学習会を用意しました。今年度のテーマは『研究者の英語をどのように支えるか』。今年度の大会は、個々の研究者に加えて、英語を使う研究者を支援する側、たとえばURA(リサーチ・アドミニストレー ター)などの事務方の取り組みに焦点を当て、支援側に今なにが求められているかを意見交換するプログラムが盛り込まれた点が最大の特徴でした。

第2回年次大会は、梅雨の真只中の日曜日をフルに使い、懇親会まで含めると午前10時から午後19時まで、計4部構成で進められました。北は北海道から南は沖縄まで、約80名の参加者が訪れました。

午前の部は、「学術英語」をテーマにした、研究者による研究発表でした。3名の研究者が登壇しました。

一人目の藤岡真由美教授(大阪府立大学 教授)は、応用言語学における英語学術論文の特徴についての先行研究をいかに授業に取り入れ、大学院生が自律して自分の研究分野での英語論文作成能力を身につける手助けをしているかを中心に、授業での実践例を交えて紹介しました。

二人目の保田幸子准教授(九州大学 准教授)は、英語学術論文作成のための自律学習支援の一環として、ESP (English for Specific Purposes) コーパス構築の試みを紹介し、専門分野やジャンルに特有の言語的・文体的特徴を学ぶツールとしてのESPコーパスの可能性について報告しました。実際に無料でダウンロードできるコーパスツールを示し、英語論文執筆にうまく組み込んで効率的に使う手法をスライド上で紹介する様子に、聴講者は身を乗り出して聞き入っていました。

三人目の山村公恵さん(東京大学 博士課程)は、元翻訳会社勤務の研究者という経歴です。研究型大学の理系大学院生に英文執筆課題を与え、その執筆過程を録画し、作業後に刺激再生法を用いて、執筆中に何を考えていたのかを尋ねるという調査を行った結果を報告しました。参加者が難しいと感じた具体例を紹介しながら、理系の英文執筆に対して、日本の英語教育環境における英語の授業や執筆支援においてどういった指導の仕方ができるのかを考察しました。興味深い内容に、午前の部が終了しても質問の列が途切れませんでした。

午前の部の研究発表では、事前の想定を上回る参加者が詰めかけ、一部は資料が足りなくなって緊急増刷が必要になるほどの盛況でした。

午後の部のサンドゥ・アダルシュ教授(電気通信大学)の講演では、大学・研究機関におけるリサーチ・アドミニストレーションの役割の一つとして、海外へ向けた広報活動や国内外の企業との国際連携を進めていくことの重要性を語っていただきました。東京工業大学において英語版広報誌の立ち上げに関わったご自身のご経験等も紹介され、ご参加のURAの方々からも自校における活動の悩みなど積極的に質問が挙がりました。

文部科学省の西島宗明氏による講演では、URAの育成・整備に関する行政の取り組みを交えながら、URAを取り巻く環境、今後の展望等をご紹介いただきました。URAに関する認知度は徐々に広まってきているものの、期限付きでURAを採用している大学も多く、今後は雇用継続によるシステム定着が求められると報告がありました。また、学術英語についてURAができる支援としては、学内で講義等を行う人材がいない場合には、アウトソースすることも一つの有効な手段であると提案をいただきました。

パネルディスカッションでは、今羽右左 デイヴィッド甫氏(京都大学 企画・情報部 広報課 国際広報室 室長)、三代川典史氏(広島大学 研究企画室 シニア・リサーチ・アドミニストレーター)、三和正人氏(九州大学 学術研究・産学連携本部 研究推進主幹)、 村田陽一氏(立命館アジア太平洋大学 事務局 次長)の各氏に、それぞれの大学のお立場から、研究を推進する力としての英語とそのサポートについて、最初に10分程度発表していただきました。その中で、日本の大学では対応がとても遅れている一方で、スイスのチューリッヒ大学では、非英語圏にもかかわらず大学広報に英語ネイティブのサイエンスライターを6名確保していることや、広島大学のライティングセンターの活動、英語版HP作成にあたってのご苦労や知見や、同じく学内のファカルティーミーティングにおける英語文書作成のご苦労や知見などに関心が寄せられ、発表後のディスカッションはもちろん、終了後にも各発表者に意見を求める参加者の方が多くいらっしゃいました。パネラーの4名の方には、現場に関わる方だから話せる貴重な情報や率直な意見を多くいただけて、参加者の方にも有意義な時間になったのではないでしょうか。

全プログラム終了後、会場の2階のラウンジで懇親会が開かれました。懇親会の参加者は、日曜の夜ということもあり、昨年度の80名よりも少なく、約30名程度でしたが、小規模だったことがかえって奏功し、アットホームな雰囲気の中、終始打ち解けたムードで、ひとりひとりの参加者と長い時間にわたって和やかに歓談することができました。多くの参加者から、今年度の学術英語学会の活動計画に期待の声が寄せられ、理事の先生方や事務局が気持ちを新たに引き締めたところで、閉幕となりました。

午前中の研究発表(写真は保田幸子准教授・
九州大学)

サンドゥ・アダルシュ教授(電気通信大学)
の講演
 
パネルディスカッション